その手元の資金の状態は健全ですか??

みなさま、ご機嫌いかがでしょうか。今年も早いもので残すところあと1カ月半となりました。この時期から年末にかけては、冬季賞与を支給したり、年末を1つの節目として設備投資の意思決定をしたり、と何かと資金需要が高まる時期でもあります。そこで今回は、事業者の資金をテーマに考えてみることにします。

少し極端な例えですが、例えば

A社: 月商1億円                        月末資金量 500万円

B社: 月商1,000万円           月末資金量 1億円

という2社があった場合に、どちらの社長がぐっすり眠れていると思いますか。

おそらくは、B社の社長さんの方がぐっすり眠れているのではないかと思います。A社の場合には、月商が大きくて毎月大きな資金が入金されるのですが、同じく大きな資金が払い出されているでしょうから、A社の社長さんとしては支払日が近づくにつれて今月は支払いのための資金が足りるかどうかドキドキした日々を過ごしていることと思われます。実際、社長さんとお話するときに、よく眠れないとおっしゃる社長さんの会社の資金繰りはタイトなことが少なくありません。

このように、経営者の手元で自由になる資金(好き勝手に、という意味ではありません)は、経営の安定と合わせて、経営者に安定した精神状態をもたらしてくれるものです。

資金の量や性格について考える計算式や帳票はいくつかありますが、今回は比較的分かりやすいものを取り上げてみます。

 

(1)正味運転資本

1つ目は、正味運転資本です。正味運転資本とは、

「売掛債権+棚卸資産-仕入債務」

で計算した金額になりまして、1年以内に使える資金を意味しますので、この金額が大きいほど短期的な資金繰りが良好であると評価できます。

卸売業や小売業のように仕入れた商品を販売するような業態で考えれば、仕入れて売って、を繰り返しているうちに手元に残っていてくれる資金、というイメージです。

 

(2)フリーキャッシュフロー

2つ目は、フリーキャッシュフローです。「FCF」と略されることもあります。フリーキャッシュフローとは、

「営業活動によるキャッシュフロー - 投資活動によるキャッシュフロー」

で計算した金額になりまして、営んでいる本業で得られた現金収支(営業活動によるキャッシュフロー)から固定資産の取得などの設備投資で投下した資金(投資活動によるキャッシュフロー)を差し引いた金額になります。

このフリーキャッシュフローは、経営者の判断で自由に使うことのできる余剰資金の金額を意味します。

ただし、この計算式だと中小零細企業では作成義務のないキャッシュフロー計算書を作成して「営業活動によるキャッシュフロー」や「投資活動によるキャッシュフロー」の金額を計算しなければならなくなってしまいます。そこで、キャッシュフロー計算書を作成しない場合には、簡便的に

 

「税引後の営業利益 + 減価償却費 - 設備投資の増加額 + 運転資金の増加額 - 運転資金の減少額」

 

という算式で計算した金額を代用することもあります。

(弊所では、資金繰りを分析する時や決算時にはキャッシュフロー計算書を作成し、経営者の皆さまに情報提供しております。)

 

(3)キャッシュフロー計算書

最後は、キャッシュフロー計算書です。キャッシュフロー計算書は、貸借対照表や損益計算書などの決算書類の一種で、上場企業には作成義務がありますが、上場していない中小零細企業には作成義務はありません。

このキャッシュフロー計算書は、通常は1事業年度の期首から期末までの間に、資金量がどのように増えたり減ったりしたのかが示される表です。そしてこの「増えたり減ったり」した要素を、(2)のフリーキャッシュフローで登場した「営業活動」「投資活動」に、融資を受けたり返済したりした「財務活動」を加えた3つに分けて示していきます。

仮に「営業活動」によって得られた資金量がプラスで、そのプラスの範囲内で「投資活動」によって設備投資した資金量と、「財務活動」によって借入金の返済に充てた資金量を賄えていれば、健全な資金運用と評価することができます。

また、「営業活動」によって得られた資金量がマイナスで、そのマイナスを「財務活動」による融資を受けた資金で補填されていることが浮き彫りになれば、早く「営業活動」によって得られる資金量をプラスにするように改善しないと、融資を受けた資金が尽きてしまうと資金ショートを起こしてしまうリスクが高まります。

というように、現時点では一定程度の資金量があって安心していても、近い将来に資金ショートが迫っていることを把握することで、社内の資金の流れを改善することで、健全な資金の流れを目指すことができるようにもなります。

(2)のフリーキャッシュフローが黒字の場合には、

営業活動によるキャッシュフロー > 投資活動によるキャッシュフロー

という状態になっていますので、キャッシュフロー計算書でも、その黒字の範囲で「財務活動」として借入金の元本返済ができているかどうか、を判断することもできますし、更なる設備投資を検討したり、どの程度人件費を手厚くできるかを検討することもできたりします。

 

今回は比較的簡便な指標や帳票を3つほどご紹介しました。資金に関する指標は他にもありますので、ご自身のビジネスにあった指標や、その指標を算出する労力も考慮しつつ、どれか1つだけでなく、複合的にご検討いただくことをお勧めします。

手元に資金が残っていれば、経営者の気持ちは楽になりますけれど、その資金が手元に残ることになった経緯は、ビジネスとして健全なのかどうか、資金ショートにつながるレールを進んでいないかどうか、このタイミングでいま一度ご確認いただいて、こころ穏やかな新年をお迎えいただければと思います。

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