『5年以上持ってるマンションを売却したのに長期譲渡にならない場合って?』

2021年6月15日

みなさん、こんにちは。税理士の尾花毅彦です。本年もよろしくお願いいたします。

暦も新しくなって、いよいよ所得税の確定申告の時期が近づいて参りました。

今回はマンションを譲渡した場合の譲渡所得の長期・短期の考え方について確認してみたいと思います。

令和元年(平成31年)中に譲渡した方は来たる申告時期に長期・短期を間違えないために、令和2年中に譲渡をお考えの方は、売るタイミングと長期・短期の関係をご確認頂くために、この記事がご参考になればと思います。

 

譲渡所得には、長期の譲渡と短期の譲渡があります

個人の方がマンションを売却した場合には、譲渡所得が発生する可能性があります。この譲渡所得の計算方法は改めてご案内するとして、この譲渡所得は長期所有短期所有かによって使える制度や税率に違いがあります。

譲渡した年の1月1日における所有期間が「5年を超える」場合には長期、「5年以下」の場合には短期となります。お気づきでしょうか、所有期間のはじめに何やら言葉が付いていますね。

単なる所有期間ではなく、『譲渡した年の1月1日における』という言葉が付いています。

 

そうなんです、マンションの取得の日から譲渡の日までの期間を指折り数えても、「長期」か「短期」かを正しく判定することができないのです。

これから申告する人は、具体的にはいつからが長期になるのか

令和元年(平成31年)中にマンションを譲渡した場合には、平成25年12月31日以前にそのマンションを取得していれば長期の譲渡に、平成26年1月1日以降に取得していれば短期の譲渡になります。

令和2年中にマンションを譲渡する場合には、平成26年12月31日以前にそのマンションを取得していれば長期の譲渡に、平成27年1月1日以降に取得していれば短期の譲渡ということになります。

この『譲渡した年の1月1日における』という言葉が付いていることで「何年中に取得していれば」を考えればよくなるため長期短期の判定が分かりやすくなります。

実際の所有期間と、長期か短期かを判断する所有期間はどう違うのか

一方で、実際の所有期間とはズレが生じてしまうため注意が必要となります。

次のような具体例で考えてみましょう。

〇 マンションを取得した日 平成26年2月1日

〇 マンションを譲渡した日 平成31年4月30日

だったとします。

平成26年2月1日から平成31年4月30日までを指折り数えると「5年3か月」になります。

「おぉ、5年3か月だから、5年を超える所有期間で税率が低い長期譲渡だな」

とはなりません。

 

この具体例では、

  •  マンションを取得した日       平成26年2月1日
  •  マンションを譲渡した年の1月1日  平成31年1月1日

になりますので、

平成26年2月1日から平成31年1月1日までを数えると「4年11か月」となります。

実際の所有期間は5年3か月なのに、この具体例では5年以下の所有期間として短期譲渡になってしまいます。

このように、マンションを売却した場合には、実際の所有期間と税務上の判定に使う所有期間で考え方が異なる点にご注意ください。

短期の譲渡よりも優遇規定が多い長期の譲渡にするには・・・

令和2年中にマンションの売却を検討されている方で、取得の日が平成27年中の場合には、令和3年になってから譲渡しませんと、実際の所有期間が5年を超えることを見計らって譲渡しても短期譲渡になってしまいます。

 

マンションは相場の変動も考えながら売るタイミングをはかるケースがあると思います。一方で、長期の譲渡と短期の譲渡では税率だけを見ても約2倍の差がありますし、長期譲渡には短期譲渡にはない様々な優遇制度が設けられています。

マンションご売却の際には、この特有の5年間の考え方も考慮して頂きながら、「売り時」をご判断頂ければと思います。

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