個人開業のときに税務署に提出するものって何がある?

令和6年になって15日、月日が流れるのは早いものですね。新たな年の幕開けとともに、今年は個人事業を開業するぞ、と決意を新たにしていらっしゃる方もいるでしょう。

個人事業の開業には、事業の構想や計画を練っておくことはもちろん大切ですが、税務面でのお手続きももれなく行うことが大切です。

今回は、開業にあたって税務署への提出が必要になる届出や申請のうち、所得税の確定申告に影響する主なものについて解説していきます。なお、届出等を提出する税務署は、個人事業主の納税地を管轄する税務署になります。e-taxによる電子申告によって送信する場合も、管轄税務署を登録する必要がありますので確認しておきましょう。

税務署の所在地などを知りたい方|国税庁 (nta.go.jp)

 

 1. 開業届

その名のとおり、まずは「開業届」を提出しましょう。提出期限は、新たに事業を開始した日から1か月以内です。

個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁 (nta.go.jp)

 

 2. 青色申告承認申請書

青色申告によって確定申告を行いたい方が提出する申請書です。承認申請書、という名称のとおり、青色申告は単なる届出ではなく、承認を受けるための申請になります。

提出期限と青色申告による申告が可能になる年度はケースによって異なります。

(1)開業した日が令和6年1月1日から1月15日まで

→ 令和6年3月15日までの提出で、令和6年分の確定申告から青色申告

(2)開業した日が令和6年1月16日から12月31日

→ 開業した日から2か月以内の提出で、令和6年分の確定申告から青色申告

  • 相続による事業承継で、新たに開業した場合には、別途細かく期限が設定されています。

 青色申告承認申請書|国税庁(nta.go.jp)

 

青色申告制度は、収入金額や必要経費に関する日々の取引の状況を一定の水準で帳簿に記帳し、取引に伴い作成したり受け取ったりした書類を保存しておくことによって、正しい申告をする事業者については、所得金額の計算などについて有利な取扱いを受けられるようにする制度です。この青色申告の承認を受けることで、青色申告によらない白色申告では認められなかった様々な特典を受けることができます。例えば、「青色事業専従者給与の全額必要経費算入」「青色申告特別控除」「少額減価償却資産の特例」「純損失の繰越控除・繰り戻し還付」「貸倒引当金の計上」等々です。

 

 3. 青色事業専従者給与に関する届出書

上記2.の青色申告の承認を受けて青色申告をする個人事業主が、生計を一にする親族で、その事業に専ら従事する者に支払う給与(これを青色事業専従者給与といいます)のうち、労務の対価として相当の金額を必要経費に算入する場合に提出する届出書です。

令和6年分の青色事業専従者給与を必要経費に算入しようとする場合には、令和6年3月15日が提出期限になります。令和6年1月16日以降に開業した人や新たに専従者がいることとなった人は、その開業の日や専従者がいることとなった日から2か月以内が提出期限です。

青色事業専従者給与に関する届出書|国税庁 (nta.go.jp)

 

 4. 給与支払事務所等の開設届出書

上記1.の開業届を提出する時にはこの届出書を提出する必要はありませんが、上記3.で新たに専従者がいることとなった場合には、給与支払事務所等の開設の日から1か月以内に提出しましょう。

給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出|国税庁 (nta.go.jp)

 

 5. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

給与・賞与を支払う個人事業主は、その給与の支払の都度、支払金額に応じた源泉所得税と復興特別所得税(以下、源泉所得税等)を差し引いて、給与・賞与を支払った日の翌月10日までに国に納付する必要があります。

また、上記の源泉所得税等を納付する義務がある個人事業主が、個人の弁護士・税理士・司法書士などのうち一定の士業に報酬・料金を支払う場合には、その支払う報酬・料金から源泉所得税等を差し引いて、国に納付する必要があります。

この「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出することで、給与・賞与等を支払った日の翌月10日までに納付しなければならない源泉所得税等を、通常は6か月分ずつまとめて納付することができるようになります。

・1月1日から6月30日までに支給した分 → 7月10日が納付期限

・7月1日から12月31日までに支給した分 → 翌年1月20日が納付期限

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書|国税庁 (nta.go.jp)

 

この申請書については、申請書の提出の翌月から効力が発生する点に留意する必要があります。例えば、令和6年1月中にこの申請書を提出した場合の、令和6年1月に支給した給与等の源泉所得税等の納付期限は令和6年2月13日(火)になり、令和6年2月1日から6月30日までに支給した給与等の源泉所得税等の納付期限は令和6年7月10日(水)になります。

 

開業時に提出をご検討頂く主なものとしては以上になりますが、他にも届出や申請は存在しますので、展開するビジネスに応じて提出をご検討ください。

 

今回は所得税に関する届出や申請を中心にお伝えしましたが、新規開業の際には、取引先との関係によって消費税に関する届出関係もあわせてご検討頂く必要があります。

 

開業準備や開業の際にご不安がございましたら、ぜひ一度ご相談頂き、不安を解消してビジネスに全力投球していきましょう。

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