「小規模企業共済」って入っておくべき? iDeCoやNISAもあるけれど。

2019年3月25日

「小規模企業共済って入った方がいいですか?」

と聞かれることがあります。小規模企業共済というのは、小規模企業共済法に基づいて、独立行政法人中小企業基盤整備機構という呪文のような名称の組織が実施している共済契約です。

簡単に言ってしまえば、国が作った経営者の退職金を準備する仕組み、です。

経営者なので、加入できるのは個人事業主や会社の役員です。なので、いわゆるお勤め人と言われる立場の方は入れません。

しかも共済の名称に「小規模企業」と入っているように、業種などにもよりますが、20人以下(業種によって人数の上限が異なります)の従業員の規模の個人事業の事業主や会社の役員でないと入れません。

 

さらに、(まだあるんかい。。。)、会社ならなんでも良いワケではないです。医療法人や宗教法人や社会福祉法人、NPO法人、社団法人や財団法人など、設立目的が儲けることじゃない法人も対象外です。

結構あるのが、個人開業された医療機関が医療法人になったときに、個人事業主だった先生が小規模企業共済をやめなきゃいけなくなるケースですね。

 

 似たような共済制度がありますよね?

 似たような共済で、「中小企業退職金共済制度」「中小企業倒産防止共済制度」(まぎらわしい・・・)などもありますが、今回はスペースの都合上、割愛します。

ここに挙げた2つの共済制度は会社が共済掛金(一般の保険でいうところの保険料)を支払う仕組みで、従業員さんの退職金準備や、連鎖倒産を防ぐ等の緊急の資金繰りに備えるための制度で、小規模企業共済とは立ち位置が違う共済なものですから。

 

 小規模企業共済って、何がおトクなの?

 ということで、話を本題に戻しますが、小規模企業共済は個人事業を廃業したり、役員を退任したり、廃業や退任をする前に残念ながらお亡くなりになってしまったときに、これまでに納めてきた共済掛金に応じて、共済金を退職金のようなものとして、本人もしくはご遺族が受け取ることができます。共済掛金は1月あたり1,000円から70,000円と法律で決まっているので、最大で年間84万円まで掛けることができます。

 そして、この掛金は所得税法上、全額所得控除の対象になります。

 

 ほかにも「共済」ってありますよね??

小規模企業共済の話をしていると、「私、けんみん共済に入ってるんですけど?」と言われることがあります。「特にやめる理由がなければ、けんみん共済はそのまま継続されてもよろしいのでは?」とお答えすることがほとんどです。「こくみん共済」「けんみん共済」「JA共済」などの共済は、一般に言うところの生命保険契約などと似たようなもので、税制上も生命保険契約、(民間の)介護保険契約、年金保険契約と同じように扱われています。「なんちゃら共済」という名称は似てるのですが、経営者の退職金のお話とは違うお話なのです。

 

 ちょっと前に、小規模企業共済の掛金が全額所得控除の対象になる、と書きましたが、一般の生命保険契約の場合は生命保険契約、介護保険契約、年金保険契約を上手く組み合わせて最大12万円の所得控除です。一般の生命保険契約だけですと、年間100万円の保険料を納めていても4万円しか所得控除にならないこともあります。一方、小規模企業共済は掛けた分だけ全額所得控除されます。ハンパないインセンティブ(施策として国から是非入ってくれ~と言われているようなもの)ですね。

 

 そうすると、「銀行に毎月積み立ててるけど、それでも入っておいた方がいいの?」という質問も頂くことがあります。ここは皆さんのお家お家の状況によってマチマチなのですが。銀行に限らず金融機関へのお積み立ては、税金や社会保険料を負担した後のお金を積み立てていることになります(可処分所得を積み立てている、ということです)。可処分所得は平たく言えば、いろいろ天引きされた後の自由になるお金です。お給料をもらっている人でいえば手取りのことです。お積み立ての預貯金は、基本的にいつでも解約できて、積み立てた金額は戻ってくる点がメリットです。小規模企業共済の場合は、例えば加入してから20年以内に任意に解約すると、納めた掛金が満額戻ってこない(金融商品的に言えば元本割れが生じる)といったデメリットがあります。

 

 選択肢が多いからこそ、しっかり考えて利用しましょう。

 時代の流れや、社会保障の観点からも、今後ますます生涯現役が求められる世の中になっていくやもしれません。健康寿命を終えてから、本業をリタイアして共済金を受け取って、「さて、老人ホームの入所費用に充てるかな・・・」という話になるのかも知れません。

 国民年金・厚生年金などの社会保障、一般の生命保険商品、金融機関への積立預貯金、などとのバランスや、今の家計の資金繰りなども踏まえて、小規模企業共済制度を利用するかどうか、利用するなら掛金の設定をいくらにするか、をご検討頂ければと思います。

 

 なお、老後など先々の資金繰りに備えたり、資産運用したりする制度でiDeCoイデコ:個人型確定拠出年金。掛金が全額所得控除)や NISAニーサ:少額投資非課税制度で配当や譲渡益等が非課税扱い)といった税制上の優遇措置があるものもあります。制度自体のメリットやデメリットもありますが、それがそのまま利用する方にとってのメリットやデメリットになるかは様々です。利用するのであれば、上手に利用して将来に備えたいですね。

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