【横浜 相続】『 配偶者居住権って相続財産として評価するの? 相続法改正に伴う相続税法改正 』

みなさん、こんにちは。横浜の税理士 尾花毅彦です。

梅雨も明けまして、一気に日差しが強くなり、日陰を選んで歩くような陽気になりました。

夏バテや熱中症に気をつけて、元気に夏を乗り切っていきましょう。

 

相続税法が改正されました

さて今回は、相続税法の改正についてです。相続法を中心に民法が大幅に改正されました。

基本的には令和元年7月1日から施行されていますが、改正項目によっては施行の期日が違うものがあります。違うものについては、適宜コメントさせて頂きます。

民法改正の概要については、姉妹サイトに弁護士が執筆したブログが掲載されていますのでご参照ください。

民法改正 番外編「相続法改正について」

民法改正 番外編「相続法改正について」の番外編

 

民法の改正のなかで、特に相続税法の改正に影響を与えるものは、次の4点です。

(1)配偶者短期居住権の創設 (令和2年4月1日施行)

(2)配偶者居住権の創設   (令和2年4月1日施行)

(3)遺留分制度に関する見直し

(4)特別寄与料の創設

それぞれボリュームがありますので、今回は、(1)配偶者短期居住権 と(2)配偶者居住権 の権利と評価についてお話させて頂きます。

 

(1)配偶者短期居住権の創設(令和2年4月1日施行)

配偶者短期居住権が創設されました。被相続人が持っていた建物に、配偶者が相続開始時に無償で住んでいた場合には、遺産分割が終わるまでの間は、引き続き無償でその建物に住んでいてよいとする権利を配偶者に認めるものです。

この配偶者『短期』居住権は、「遺産分割の話し合いが早く終わっても、6ヶ月は住んでいることが保障されますよ」という権利です。仮に遺産分割が6ヶ月以内にまとまらなくても、遺産分割がまとまるまでは住んでいることもできます。

その居住建物が配偶者以外に遺贈された場合や、配偶者が相続放棄をした場合には、その建物の所有者からの消滅請求を受けてから6ヶ月まではその建物に住んでいられます。

他人に貸して賃料を得ることはできず、財産性がない権利とされているため、相続税が課される財産には含めなくてよいとされています。

 

(2)配偶者居住権の創設(令和2年4月1日施行)

配偶者居住権が創設されました。被相続人が持っていた建物に、配偶者が相続開始時に無償で済んでいた場合で、遺産分割や遺言により配偶者が配偶者居住権という権利を取得することが出来るようになりました。

先程の配偶者短期居住権と違って、終身もしくは一定期間にわたり認められる法定の権利なので、相続税の課税対象となります。

財産評価についても、相続税法の原則的な考え方である「時価」ではなく、評価方法が規定されています。

 ① 配偶者居住権の評価方法

次の算式で計算することになります。

【 算式 】

建物の時価 - 建物の時価 ×  × A(※)

※:Aは『存続年数に応じた法定利率による複利原価率』

遺産分割の場面では、相続人間で合意した価額で評価することも可能ですが、相続税の計算においては、上記の算式で評価することが必要です。

算式の各要素は次のとおりです。

「建物の時価」は配偶者居住権が設定されていない場合の建物の相続税評価額です。

その居住建物の一部が賃貸の用に供されていたり、被相続人と配偶者の共有にしていた場合などには、別途按分計算が必要となります。

 

「耐用年数」は建物の耐用年数で、法定耐用年数を1.5倍します。6月以上の端数は1年とし、6月未満の端数は切捨てます。

 

「経過年数」は建物の築年数です。6月以上の端数は1年とし、6月未満の端数は切捨てます。

 

「存続年数」は配偶者居住権の存続年数で、次に定める年数です。

(ⅰ)終身の場合:配偶者の平均余命年数

(ⅱ)終身以外の場合:遺産分割協議などで定められた配偶者居住権の存続期間の年数

(ただし、配偶者の平均余命年数を上限とする)

存続年数も、6月以上の端数は1年とし、6月未満の端数は切捨てます。

平均余命年数は、下記の厚生労働省のリンクで、最新の「完全生命表」をご参照ください。

厚生労働省 完全生命表

「法定利率による複利原価率」は、国税庁のリンクをご参照ください。

国税庁 法定利率による複利原価率

法定利率は令和2年4月1日より年3%とされており、その後3年ごとに見直されます。

また、算式の分母もしくは分子がゼロ以下になる場合には、算式の分数はゼロとされます。

 

 ② 居住建物の所有権の評価方法

次の算式により計算します。

【 算式 】

建物の時価 - 配偶者居住権の価額

 

この場合の建物の時価は、賃貸の用に供されていた部分があっても、別途按分計算は行いません。

 

 ③ 配偶者居住権に基づき居住建物の敷地を使用する権利

次の算式により計算します。

【 算式 】

土地等の時価 - 土地等の時価 × 存続年数に応じた法定利率による複利原価率

 

「土地等の時価」は居住建物に配偶者居住権が設定されていない場合の、その居住建物の敷地の用に供されている土地等の相続税評価額です。

その居住建物の一部が賃貸の用に供されていたり、被相続人と配偶者の共有していた場合などには、別途按分計算が必要となります。

なお、この③の権利は小規模宅地等の特例の対象となります。

 

 ④ 居住建物の敷地の所有権等

次の算式により計算します。

【 算式 】

土地等の時価-配偶者居住権に基づき居住建物の敷地を利用する権利の価額(上記③)

 

この場合の「土地等の時価」は、居住建物に賃貸の用に供されていた部分があっても、別途按分計算は行いません。

 

 ⑤ 登記について

この配偶者居住権の設定あたっては、第三者対抗要件としての登記が必要になりますが、その登記の際の登録免許税は、居住建物の固定資産税評価額の1,000分の2の税率による登録免許税が課されます。

 

 ⑥ 物納財産について

配偶者居住権が設定された居住建物とその敷地については、物納の際には物納劣後財産として取り扱われることとなりました。

物納については、適用要件が厳格化されたことで、適用を受けるケースが極端に少なくなったこともあり、実際に物納財産として納付されるケースは多くないかも知れません。

 

お示ししてきたように、配偶者居住権が関係する財産や権利の評価は複雑です。

正直、むちゃくちゃ分かりにくいです・・・。

 

また、配偶者居住権については遺言による設定も可能です。

ただし、遺言による設定の場合には、令和2年4月1日以降に作成した遺言で設定する必要があります。

 

難しいことはよく分からない、何を質問したらいいかも分からない、という方も一度ご相談ください。

どんなことから考えていけばよいか、どんなことを準備しておけばよいか、などお一人お一人のご事情に応じてご案内させて頂きます。

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